大音量=車外に向けた迷惑行為ではない理由
カーオーディオで大音量?
ああ、たまに街中で見かける、ドンドンとうるさいやつね。
私ああいうの苦手なんで、カーオーディオに興味はないかな。
おいおいどうした?
いつの話よそれ。どんだけステレオタイプやねん。
いや、もちろんそういう車もあるけど、今は令和で多様性の時代だろ?
カーオーディオもそういうのじゃなくて、全く違う方向性のものが出てきてんのよ。
同じ大音量と言っても「高音質の為の大音量」だったらどうよ?
は?そっちこそ頭大丈夫?
高音質ってのは音量小さくてもはっきりと聞き取れるかどうかって事でしょ?
このたわけが!
大音量無くして高音質なし!!
適当な情報に流され、正しく高音質を理解できていないとは、ミュージックラバーあるまじきっ!
メタル ジェネラル!!
誰?このオッサン。
そもそもミュージックラバーとか言った覚えないし。
高音質の基準というのは、もちろん人それぞれあって良い。
ただ、しっかりと数値化された指標により、
高音質であるか否かを判断できるものも存在しておる。
それがS/N比(エスエヌひ)である。
(いや、なんか話始まってるし)
S/N比?なんそれ。
高音質って、ハイレゾとかでよく聞くサンプリングレートとかビットレートが高いやつのことじゃないの?
お、心得ておるな。もちろんそれもあるのだが…。
一つずつ説明しよう。
まず、S/N比とは
端的にいうと、信号(Signal)と雑音(Noise)の比率のことで、
通常はアンプの仕様などに記載されているものを指すことが多い。
例えば、
湯けむりガレージのデモカーに使用されているアンプ
「MTACH M-5.4DSP」の仕様表で確認してみようではないか。
この様に、
デジタル入力と注釈はあるものの、
S/N比が105dB(デシベル)という表記が確認できる。
これはどういう事か、分かりやすさ第一に伝えると、アンプが元々持っている雑音に対して信号が105dB高いという事を表しておる。
ふーん。そうなん。
で、それが大音量とどう繋がってくるわけ?
まずここで伝えたいことは、
S/N比の概念を理解してもらいたい為にアンプの使用の話をしたに過ぎないということだ。
実際に今回の話に当てはめると、
Sは音楽再生音で、
Nは走行中に聞こえてくる風切り音や、走行中タイヤから発せられるロードノイズ等と捉える事ができる。
はいはい。てことは、
高速道路とかで100km/hとか出した時、風切り音とか、タイヤのゴー音が酷くなる(ノイズが増える)と。
つまりそれは、ノイズの方が大きくなる=S/N比が低いと同義だよってわけね。
Exactly.
全くその通りだ。
とはいえ、そういう時でもライブキッズである御仁は音楽を聞きたいであろう?そんな時はどうする?
まあ、普段どおり聞こえるくらいに音量を上げるかな。
そういうことだ。
たとえ同じノイズ量(周りがうるさい状態)であっても、
音量を上げる事で、音楽信号とノイズの差は大きくなるであろう。
つまり音量を上げることは、
S/N比が上がるという事だ。
次に、
S/N比が上がるということは、
高音質ということでもある。
よって、
君も無意識に高音質にする(S/N比を上げる)ために
音量を上げているのだよ。
うーん。高音質ってそういうのではないと思うんだけどなあ。
まあそう思うのも無理はない。
おそらく全く新しい概念だろうし、今はピンとこないだろう。
ただ、そういうもんだと思ってもらった方が話は早い。
音楽信号と、走行中の雑音の差分が大きくなればなるほど
音の表現力が増すことは明白である。
これは巷で言う高音質とは異なる意味合いに感じられるかもしれないが、
根っこは同じなのだ。(詳しくは後述します。)
一般的な感覚による高音質は、実は音量の差という話
一般的にいう高音質ってあれだろ?
ボーカルの息遣いまで聞こえるとか、
同じ音量なのにスピーカーやアンプ変えただけで、
今まで聞こえなかった音が聞こえる様になったとか、
そういうのを高音質って捉えてるんだろ?
そう。それ。
(いやどこにおったん)
それが実は勘違いなのだ。(と思った方が理解が早い。)
スピーカーやアンプを変えることで、
プレーヤーの音量が同じでも、
実際には音が大きくなっていて、
より細かな表現も聞こえる様になった
だけの話なのだ。
はいはい。そうやって騙そうって魂胆ね。
そう思いたい気持ちも分からないでもない。
気持ちを代弁すると、アンプはまだしも、スピーカーを変えたら音がデカくなるとか意味分からんって言いたいわけだろう?
そうだね。ボリュームコントロールできるわけでもないのにスピーカー変えただけで音量は変わらんくない?
確かにスピーカー単体では音を増幅する機能が備わっているわけではないと言える。
しかし、スピーカーには「能率」という仕様が存在し、
その数値によって、プレーヤーの音量が同じでも、出てくる音量は変わるのだ。
能率?
そう。
スピーカーへ1Wの電力を流した時、
1m離れた場所で
どれくらいの音の大きさが出ているのかを
表しているのが能率である。
実際にスピーカーの仕様で見てみよう。
このスピーカーの場合、能率は89dB/1m
とある。
つまり、
このスピーカーにたかだか1Wの電力を流すと、
1m離れていても何と89dBもの爆音が出てくるのだ!!
ちょwww 展開早いな。
オッサンはそういうの詳しいから分かるかもしれんけど、私にとっては89dBがどれくらい爆音かがよく分からんよ。
もちろんそういうと思ったわ。
どれくらい爆音か、89dB位の状態を教えてあげよう。
5m先で作業しているブルドーザーの音と同じくらいの爆音だ!
いや、全く分からん。
何やて。
ほな、以下の表を参考にしてみたまえ。
音の大きさ (dB) | 音の具体例 |
---|---|
130dB | 生ドラム、落雷、ジェット機のエンジン近く |
120dB | ジェット機(200m)、ライブハウス、近くの落雷 |
110dB | 自動車のクラクション(直近)、地下鉄構内 |
100dB | 電車が通るガード下、声楽プロの歌声 |
90dB | カラオケ店内中央、犬の鳴き声(直近)、ブルドーザー(5m先) |
80dB | 走行中の電車内、救急車のサイレン(直近)、パチンコ店内 |
70dB | 高速道路を走行中の車内、セミの鳴き声(直近) |
60dB | 普通の会話、デパート店内、家庭用エアコンの室外機(直近) |
50dB | 静かな事務所、家庭用エアコンの室外機(遠距離) |
40dB | 図書館内、閑静な住宅地の昼間 |
30dB | 深夜の郊外、鉛筆で書く音 |
20dB | 木の葉が触れ合う音、雪が降る音 |
なあ、これ見て思ったんやけど、普通の会話が60dB?
そんなにうるさくないと思うんやけどな。
残念だったな。若者よ。
君の言いたいことはこうだろう。
「90dBと60dBは30dBしか離れてないから、そこまで大きく変わらんくね?」
せやろ。なんかちゃうの?
たわけが!!
デシベルの単位のことも分からんのに憶測で物事を語るなかれ!
(いや私も知らんけど)
30dBの差というのは、音の大きさでいうと2の5乗。
つまり32倍(正確にはやや異なるそう)の差が生まれておる!!
え、でか。
てか32倍は草超えて森。抜けてアマゾンやな。
どっちにしろ89dBいうのが爆音というのはわかったわ。
んで、何の話してたっけ。
デッキの音量は変えなくても、スピーカーを変えるだけで、
今まで聞こえなかった音が聞こえる様になった。
つまり、スピーカーを変えると高音質になるんだ!と喜んでいる場合を見受けられるが、
それ実は、音量が上がったからだよ。
ということからの草超えて森。抜けてAmazonだったという話である。
(いや、最後違うやろ。)
え、何。
じゃあ、高音質にするには単純に音量上げたらええってことやん。
てことはスピーカー変えずに純正で十分ってことじゃない?
おい、ふざけんなオーディオショップ。
まあそう慌てるでない。
お主、「純正で十分じゃね?」と申しておったな。
それがそうもいかないのがオーディオの面白いところよ。
まず初めに断っておくと、やりようによっては純正でも
ある程度のクオリティの音は出せる。
もちろん、それで満足のいく音が出せたならもう何も言うまい。
誤解を恐れずに言うと、オーディオなんぞ嗜好品である。
誰がなんと言おうと、その音が心地よければそれでいいのだ。
ただ一方で、それだけでは不十分と言ってもいい。
そうなん?
なんでよ。
例えば、
一般的な純正のスピーカーといえば、
コストの関係だと思うが、
低域から高域まで、一つのスピーカーで
全ての音域を再生していることが多い。
これでは、
たとえ音量を上げたとしても、
高音質再生可能とは言い難い。
ああん?嘘言うな。
さっきまで音量は正義とか抜かしとったくせに。
この腐れ外道が。
いや言い方よ。
一つずつ説明していこう。
まず、純正スピーカーは、
・低域から高域まで
・全ての音域を
・一つのスピーカーで鳴らしていることが多い。
ここまではOK?
OK
次に、
スピーカーは口径(振動板の大きさ)によって、
得意とする音域が異なっている。
一般的には、
・口径が大きいほど低域が得意
・口径が小さいほど高域が得意
なのだ。
もちろん、
大きければ大きいほどいいと言うわけでもなく、極端すぎると、無駄にコストがかかってしまうし、音質もいいとはいえない。
そこはまあバランスじゃな。
確かに純正で高音質と謳っているのは、たくさんスピーカーがついてるものがあるね。
なるほど。ちょっと納得。
ちょっと納得か。
と言うことは、
まだ納得していない部分があるということかの?
そうだね。
これまでの話からすると、
大音量だと高音質を得られる一方で、
低域から高域まで、全音域を鳴らすため、
それぞれの音域に合わせたスピーカーが必要。
で、
純正でもそれを叶えてくれるオプションが存在している。
なら、
それで良くない?と思って。
カーオーディオショップいらんやん。
またそうやってすぐ極論を言いよってからに…。
わかった。
では次に、
カーオーディオでのリスニング環境についての話と合わせ、
湯けむりガレージの音作りその2「各楽器の音が聞き分けやすいこと」
について触れていこう。
が、その前に…。
その前に…?
湯けむりガレージでいう大音量は、
ただ単に車の外に向かって「ヒャッハー!!」
と鳴らしちらすためのものではなく、
高音質を得るための大音量である。
ということを
ご理解いただけただろうか?
…。
あのさあ。一個いい?
な、なんじゃ?
まだあるんかいの。
大音量だったら高音質ってところが
イマイチピンとこなくてさあ…。
おおなるほど。
そうかそうか。
終盤を迎えておるにも関わらず、
疑問をそのままスルーせず確認すること。
お主、やはりミュージックラバーであるな!!
いや知らんがな。
純粋に気になっただけだよ。
OK。
では、高音質について若干補足しよう。
それは…、ダイナミックレンジじゃ!!
(ダイナミックレンジ!?なにそれ。気になる〜!ってなんねえよ。クソが。)
次回に続きます。
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